シルバーウィークもあっという間に最終日ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?今回は先週更新できなかった分、間隔を短めに更新してみようと思います。お題はDV。先日シンガポールで行われたアジア地域限定の国際クリエーティブ賞「スパイクス・アジア」のメディア部門でも銀賞を受賞した、タイ発の見ごたえあるキャンペーンです。タイならではの(?)ドギツイ演出にクラクラしますが、映画館というメディアならではの「音響」に目をつけ、その意味をずらすことで、逃げ場のない暗闇に座る人々にメッセージを突きつけることに成功しています。ビデオの作り込みにはまだ雑なところはありますが、特筆すべきはそのキャッチコピー。アイデアと見事にダブルミーニングになっています。それでは以下をご覧ください。
<反虐待サウンドチェック(The Anti-Abuse Soundcheck)>
<ビデオ和訳>
“2014年12月 バンコクの‘メジャー・シネプレックス’にて”
“映画館でのサウンドチェックは通常、上映前に行われる”
“我々はこのサウンドチェックを、より意義深いものにした”
女性「助けて!…もう文句は言わないから!」
女性「そのお金は持ってかないで!子どもの学費よ!」
女性「お願い、持ってかないで…」
キャッチコピー:<あなたにチェックしてほしいサウンドがあります>
女性「お父さん、叩かないで…」
<毎時間、少なくとも3人の母子が家庭内暴力の被害者になっています>
<こんなサウンドを聞いたら、1300番にお電話を。家庭内暴力の根絶にご協力ください>
<サウンドチェック by 女性財団 & メジャー・シネプレックス>
“我々は被害者の叫び声をサウンドチェックに使うことで、暴力が我々の周りに日常的にあることを伝えた”
“これらは実生活で、観客たちにチェックしてほしいサウンドでもあった。”
観客A「見えなくても、暴力はひどいもので、起こるべきでないものだと感じました」
観客B「事実、暴力は身の回りにあるものです」
観客C「家庭の問題ではなく、社会問題だと思いました」
観客D「もし同じような叫び声を聞いたら、無視せずに電話しようと思います」
<このキャンペーンはバイラルし、SNSやPR露出でおよそ3.8百万バーツ分の効果をもたらした>
<上映から1ヶ月で、ホットラインへの1日あたりの電話数は4件から20件へと増加>
<バンコクでの成功を受けて、この試みは他の主要都市でも行われることになった>
<つまり、これにより人々の目を家庭内暴力に振り向かせただけでなく、耳を引きつけることにも成功したのだ>
“もしもし、近所で叫び声が聞こえたんですが…”
<反虐待サウンドチェック by 女性財団 & メジャー・シネプレックス>
さて皆さま、いかがでしたでしょうか?DVの演出がかなり大袈裟ですが、これが映画館のサウンドチェックも兼ねていることを考えると理にかなっているのかな、と思います。そして特に嬉しいのはこのアイデアが、私が今所属している電通グループのタイにあるエージェンシー、電通プラスのアイデアである、ということ。こんな風に、東南アジアからもどんどん素晴らしいアイデアが出てくるようになると世界はもっと面白くなる!と思いました。
同じアジアの仲間にアイデアの質や総量で負けないように、このブログを通じて起業や世直しに立ち上がる日本の人たちのお役にたてればと思います。
では、明日からの戦いの日々、引き続き頑張ってまいりましょう!
This anti-abuse campaign is from Dentsu Plus, Bangkok. This won a silver award in Spikes Asia 2015. As the award evaluated, the media they chose is relevant and the tagline perfectly matches the environment. Though the case film should be improved a little bit, I feel proud of this achievement, as a member of Dentsu Aegis Network.