世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたいすべての人のヒントになれば幸いです。

ブランドも消費者もWIN-WIN!カンヌ国際クリエーティブ祭 ライオンズヘルス審査レポート vol.8

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【写真キャプション】カンヌの授賞式で見事、ライオンのトロフィーを受け取ったチームの一コマ(今回紹介の作品スタッフとは異なります)。ゴールドライオン(金賞)以上でないと登壇できない他部門とは違い、LIONS HEALTHはシルバーライオン(銀賞)でも登壇できるので、何としても舞台に立って受賞したい人には狙い目かも。

皆さまこんにちは。東京では暑い中にも、徐々に過ごしやすい瞬間なども感じられるようになりましたがいかがお過ごしでしょうか?

開催からまだ2ヶ月しかたっていないにもかかわらず、すでにはるか遠い昔のようにも感じられますが、今回も私が審査員を務めたカンヌ国際クリエーティブフェスティバル「LIONS HEALTH」のヘルスケア&ウェルネス部門で出会った素晴らしい作品をご紹介します。

ヘルスケアというとどうしても、NPO団体などが主催するソーシャルグッドな取り組みが目立ってくるものですが、今回はユニリーバという多国籍企業が取り組んだ、人々に役立ち、かつ商品の「売り上げ向上」につながった、ビジネスモデルとしても優れたアイデアをご紹介します。まずは以下の解説ビデオをご覧ください。

<衛生ハンドル>

www.youtube.com

<ビデオ和訳>

テレビの司会者「暮らしに食料品などの買い出しは欠かせませんが、食べ物以上のものを家に持ち帰ってしまっているかもしれません」

アナウンサー「特にスーパーのカートのハンドルには、100万匹以上のばい菌が潜んでいるかもしれないのです」

アナウンサー「サルモネラ大腸菌ブドウ球菌は消化器官に深刻なダメージを与え、時には死をもたらすことさえあるのです」

“そこで衛生的な習慣を推進する(石鹸や除菌用商品のブランド)「ライフブイ」は、これらの危険から身を守る方法を開発した”

<ライフブイ「衛生ハンドル」>

“ハンドルにライフブイの消毒液を塗布し、99.9%除菌する革新的デバイス”

ライフブイのマーケティングマネージャー「ライフブイは菌や感染から人々を守ります。カートに毎日、何人が触るのかを想像してみてください。ライフブイを一往復させるだけで清潔に消毒することができるのです」

“100万以上の菌がついたハンドルを一瞬で99.9%除菌”

ライフブイのマーケティングマネージャー「中東最大のカルフールのフラッグシップ店と提携しています」

利用者A「とても簡単で清潔なソリューションです」

利用者B「カートは清潔とはいえませんから。カートを返した後、手も消毒されていると考えると安心します」

“毎日10000人の買い物客を守り、ライフブイの売り上げは53%上昇”

ライフブイのマーケティングマネージャー「いろんな場所に応用できると考えています。病院や電車、バスなどといった場所で」

“治療より予防の方が優れていることを実証”

ユニリーバ「ライフブイ」

以上、いかがでしたでしょうか?審査の現場でもこれはすこぶる評価が高く、「スーパーの入り口でこんな商品体験ができたら、売り場でも絶対に手に取りたくなるよね!」とか、「ライバルブランドの担当者がこれをやられた時の気持ちを考えると、めちゃくちゃ悔しいはずだと思う!」とか、いい大人たちが目をキラキラさせながら興奮して話していました。僕も何か言っておきたいと思い「これを応用したら、いろんな場所でみんなが一拭きするだけでライフブイの消費量が革命的に上がるかもしれない。そんなビジネスモデルにも発展しうる素晴らしいアイデアだ!」とキラキラしてみました。

これは消費者にとっても嬉しく、売り場にもよく、そしてもちろんブランドにも良いという、絵に描いたような「3方よし」の企画です。我が国も夏場はジメジメして、食中毒などが起きやすい季節なので、来年はぜひ、同じような取り組みを日本でもやって欲しいと思いました。 

追伸:9月4日(金)に以下リンク先の勉強会で話すことになりました。あの「グリーンズ」の小野さんとのコラボトークの予定です。主催者のご厚意で読者様に座席を確保してもらったので、ご興味があればぜひ登録してご参加ください。なんてったって「無料」です!!

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