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世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、時に和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたい人たちのヒントになれば幸いです。

ブログ1周年突破記念!カンヌ国際クリエーティブ祭 ライオンズヘルス審査レポート vol.4

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みなさまこんにちは。さて実は、このブログが始まったのが昨年の7月12日。今日はこのブログにとって、2年目の始まりの日です。お読みいただいた皆さまのおかげもあってか、ブログが続けられた…だけでなく、サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)に行ったり、カンヌ国際クリエーティブ祭の審査員をやるなど、予想もしなかった1年を送る事ができました。今年も皆さまに、自分が日々の中で手に入れた様々な知見を惜しみなくお届けできればと思います。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

さて、今回は私が審査員を務めましたカンヌ国際クリエーティブ祭のヘルスケア部門「ライオンズヘルス」の受賞作品の中でも評価が高く、シルバー(銀賞)を獲得したインド発のアイデアをご紹介します。「ひとつまみの非常識」で社会に大きな変化を与えたアイデア、ということで、このブログの2年目突入を飾るにふさわしい作品だと思います。ぜひ、ご覧ください。

<命を救うビンディ>

<ビデオ和訳>

ナレーション:

インドの地方では、何百万人もの女性が乳がんや乳腺線維嚢胞症、妊娠中の体調不良などに悩まされていた。

これらに共通する原因としては、ヨウ素の不足が挙げられた。

それを補う錠剤はあったが、地方の女性にはそのようなものを飲む習慣がなかった。

<どのようにしたら、彼女たちに不足するヨウ素を補ってもらえるのか?>

インドの女性のほぼすべては、伝統的な美の象徴として額にビンディを付ける。ではもし、ビンディにそれ以上の役割…例えば、命を救う役割を持たせたらどうだろう?

そこでタルワービンディ社は、ニールヴァサント医療財団&研究所との協力で命を救うビンディ「ジーバンビンディ」を開発した。

それはビンディを、ヨウ素を補う経皮吸収パッチにしてしまう、というもの。女性が必要とするヨウ素の量は、1日に150〜220マイクログラムとされている。このビンディは、着用者の体内にその分量のヨウ素を供給するのだ。特別に作られたこれらのビンディは、医療テントや、診療所を通じて地方のインド女性に配布された。女性が5億人を占めるインドにおいて、ビンディはもはや美の象徴だけではなくなった。彼女たちの生死を分けるものとなったのである。

(※以下マスメディアやツイッターの絶賛の声が入る。翻訳は省略)

<命を救うビンディ>

以上、いかがでしたでしょうか?自分がインドに住んでいるクリエイターで、こんな企画を他の人に思いつかれたらきっと、悔しくて夜も寝られないことだろうと思います。

ただ少し審査の内幕をお話ししますと、これがシルバー(銀賞)で止まってしまい、ゴールド(金賞)やグランプリになれなかった理由としては、「このビンディを渡しても、女性たちが使い終わったら状況は元に戻ってしまう」というところにありました。アイデアは素晴らしいものの、このブログにこれまで取り上げられた他の受賞作品に比べて、そういった部分の「サステナビリティの弱さ」があった、ということになると思います(例えばビデオ後半の語り口がやたらと大げさな話になってしまっていますが、その代わりにむしろビンディの配布のされ方がきちんと説明されて、さらにそれがサステナブルな仕組みであったら評価はもっと、確実に上がっただろうと思われます)。

とはいえそもそもがかなり素晴らしい企画ですし、それをここで悪く言う気持ちは全くありませんが、ライオンズヘルスではメディカル系広告エージェンシーのクリエイターも多いため、そういったところまでしっかり議論されて結論が出ている、という点は示しておきたいと思いました。

…さて、今年のカンヌでは健康関連以外でも素晴らしいソーシャルキャンペーンがたくさんありましたが、その前にライオンズヘルスの受賞作で紹介しておきたい作品がまだあと3~4つほどあります。今しばしこの特集に、お付き合いくださいませ。

それでは今週も、頑張ってまいりましょう!