世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、時に和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたい人たちのヒントになれば幸いです。

カンヌ国際クリエーティブ祭 ライオンズヘルス審査レポート vol.3

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みなさんこんにちは。私が審査員を務めたカンヌ国際クリエーティブ祭ライオンズヘルス、ヘルス&ウェルネス部門の中でも特に評価が高かった作品をご紹介する特集の第3弾。今回は昨年のカンヌでも他部門で高い評価を得ていたオーストラリア発・乳がんの早期発見のためのキャンペーンをお届けします。

部門間の募集時期のズレにより応募された、1年前にすでに評価されている作品を今さら選んで良いのだろうか…と私を含む審査員の大多数が考えている不利な状況から審査が始められたこの企画でしたが、やはりキャンペーンの仕組みの強さ、そして以下にお見せする映像の素晴らしさに、気づいたらみんなが金賞のボタンを押していたという力作です。

企画の概要を説明すると、2013年に乳がんで亡くなったオーストラリアの国民的人気シンガー、クリッシー・アンフレットさんへの追悼の意も込めて、オリビア・ニュートン・ジョンさん含むオーストラリアの人気女性シンガーたちがNGO団体とコラボして、乳がんの早期発見啓蒙のためにクリッシーのヒット曲「I touch myself」を歌い継いで女性の自己触診を促した、というものです。

何はともあれ、そんな背景を知らなくてもなぜかジーンときてしまう、この作品をご覧ください。特にオリジナル歌詞の最後の最後(和訳文のアンダーライン部分)の「I」と「You」だけをちょこっと入れ替えることで、一気に伝えたいメッセージに持っていくところなどは鳥肌モノです。

<私自身にタッチする>

www.youtube.com

<楽曲歌詞&ビデオ和訳>

I love myself I want you to love me

あなたに愛して欲しいから、私は自分を愛する。

When I feel down I want you above me

落ち込んだ時、私の上にいて欲しい。

I search myself I want you to find me

あなたに探して欲しいから、私は自分自身を探す。

I forget myself I want you to remind me

あなたに思ってほしいから、私は自分の事を忘れる。

 

I don't want anybody else

他の誰もいらない。

When I think about you I touch myself

私はあなたを思うとき、私自身にタッチする。

Ooh I don't want anybody else Oh no, oh no, oh no

他の誰もいらないから。

 

You're the one who makes me come runnin

あなたは私を走らせる。

You're the sun who makes me shine

あなたは私の太陽。

When you're around I'm always laughin

あなたがいると、いつも笑顔の自分に気づく。

I want to make you mine

あなたを自分のものにしたい。

 

I close my eyes and see you before me

あなたが見えるように、私は目をつむる。

Think I would die if you were to ignore me

もしあなたが無視したら、私は死んでしまいそう。

A fool could see just how much I adore you

こんなに愛しているだなんて、お馬鹿さんにしかわからない。

I'd get down on my knees I'd do anything for you

あなたのためならひざまずき、なんでもしてあげる。

 

※I don't want anybody else

他の誰もいらない。

When I think about you I touch myself

私はあなたを思うとき、私自身にタッチする。

Ooh I don't want anybody else Oh no, oh no, oh no

だって他の誰もいらないから。

<※もう一度繰り返し>

When I think about you I touch myself

私はあなたを思うとき、私自身にタッチする。

 

Ooh I touch myself

そう、私自身にタッチする。

I honestly do

心を込めて。

I touch myself

そう、私自身にタッチする。

 

Think I would die if I were to ignore you.

私が無視してしまったら、私が死んでしまうから・・・。

 

<TOUCH YOURSELF>

“あなた自身をタッチしてください。”

<A BREAST CANCER ANTHEM FROM Chrissy Amphlett>

“クリッシー・アンフレットからの乳ガン聖歌”

<Itouchmyself.org Cancer council>

“私自身にタッチする.org ガン協議会”

以上、いかがでしたでしょうか?ちなみにクリッシーさんの原曲はこちらです。原曲ではセクシャルな意味だった「私自身をさわる」という意味を乳がん発見のための自己触診にすり替えたところからもう、奇跡的。しかも元の曲よりもキャンペーンのアレンジの方がいいかもしれない(クリッシーさんすみません!)という、神が降りてきております。


Divinyls - I Touch Myself - YouTube

 キャンペーンの構造についてもっと詳しく知りたいというかたは、以下のビデオをご参照ください。本記事の冒頭に触れた企画概要を頭に入れておけば、内容はだいたいつかめると思います。この楽曲がituneなどでも販売され、オンラインなどでもきちんとキャンペーンが行われたことが説明されています。そういえばこのビデオの最後にコメントを残しているオリビア・ニュートン・ジョンさんも乳がんを患った方ですね。。。


#itouchmyselfproject Case Study - YouTube

長くなりましたが、故人をワイドショーで偲ぶだけでなく、その想いを活かして国民的なムーブメントに転化させてしまったこの企画力に脱帽すると同時に、卓越したアイデアを生み出すためには時に、深い悲しみをプラスに変える発想のたくましさが求められるのだ、と強く学ばされた企画でした。

クリッシーさんのご冥福を祈るとともに、この企画に刺激されて、さらに素晴らしい企画がたくさん生まれることで、一人でも多くの方の乳がんの早期発見がなされればと思います。