世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたいすべての人のヒントになれば幸いです。

これは傑作!子供たちに夢中で手を洗わせた南アフリカの感染症予防キャンペーン

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みなさまこんにちは。世界中の広告業界にいる人たちにとって6月は胸踊る季節、世界最大の広告賞、カンヌ国際クリエーティブ祭がまた、近づいてまいりました。私もヘルスケア部門の審査員として旅の準備を始めているのですが、今から世界中のどんなビッグアイデアと出会えるのか、興奮が止まりません。

http://www.canneslions.com/lions_health/

・・・ということで今回はテンション高めに、個人的にとっても好きなヘルスケアに関するアイデアをご紹介します。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、低予算でもアイデアだけでこれだけ社会を変えられる、という点では時代を超えて教科書的な事例ですので、ぜひご覧ください。

<Hope of Soap –キボウ石鹸->

www.youtube.com

<ビデオ和訳>

南アフリカでは毎年、何千もの恵まれないエリアに過ごす人々が

衛生環境の欠如により、腸チフス、下痢、肺炎、コレラなどの

予防できる病気で命を落としていた。

事実、WHOは南アフリカを、最も衛生環境の劣る国の一つに指定していた。

最悪なのは、これらの病気にかかる人たちが、子供たちであったこと。

そしてウエスタンケープのスラムであるブリッキーズドゥープはまさに、

そんな状況に置かれているエリアだった。

しかしそこには、望みがあった。こまめに手を洗うという単純な行為が、

これらの死の病の感染拡大を食い止めるには一番効果的であるという研究結果があったのだ。

しかし子供たちに石鹸を渡すだけでは感染は防げない。

本当のチャレンジは、子供たちに習慣として

もっとこまめに手を洗ってもらうこと。では、どうすれば良いのか?

<Hope Soap –キボウ石鹸->

中におもちゃが透けて見える石鹸。おもちゃを取り出すためには、手を洗わなければならない。

コミュニティのリーダーたちが石鹸をブリッキーズドゥープの子供たちに手渡した。

コミュニティリーダー「子供たちは手を洗うだけじゃなくて、

お風呂も楽しみにするようになったんです。おもちゃを取るためには、

石鹸を使わないといけないですから」

このアイデアは、子供たちに手洗いの習慣を染み込ませた。

そして彼らの衛生環境を向上させ、病気への感染を低下させた。

<病気にかかる率は70%減少>

<呼吸器の感染症は、75%減少>

子供にとっての見返りは、おもちゃという小さなものだが、

南アフリカにとっての見返りは、「より健康的な国」というより大きなものだったのである。

さて、いかがでしたでしょうか?このキャンペーンで行われたことは実はほんのひとひねり、「おもちゃを石鹸にいれただけ」です。人は、たったこれだけのことで世界に違いを生み出すことができるのです。

勇気が湧いてきますよね。

ちなみに私がコンセプトを開発した食べもの付きの月刊誌「東北食べる通信」も、食の宅配サービスの「食材と小冊子」のメインとサブの関係性をひっくり返しただけで、全国的なムーブメントを生み出すことに成功しました。

taberu.me

「ちょっとのずらしで大きな効果」。これがはまったときの気持ち良さは、ほかの何にも変え難いものがあります。皆様が受け持っている分野でもぜひ、この素晴らしい石鹸の事例を教科書に、日々アイデアを開発していただければと思います。

それでは今週も、頑張っていきましょう!