みなさんこんにちは。さて、今回はタイトルの通り、差別に関するポスターを使ったソーシャルキャンペーンをご紹介します。日本だとこの手のポスターは、きれいごとやありがちなスローガンだけでお茶を濁すようなモノも多いのですが、ブラジル発のこのアイデアには、見る人すべてを当事者に引き込んでしまう強力なメッセージが含まれています。ぜひ、ご覧ください。
<HIY感染ポスター>
<ビデオ和訳>
シルビア(HIV感染者)「差別は情報の欠如から生まれます。」
ミカエラ(HIV感染者)「私が鼻血を出すだけで学校中がパニックになります。」
ヴィクター(HIV感染者)「僕が受けた差別は、ある時・・(涙目で)ちょっと時間くれる?」
<HIV感染ポスター>
※実際のポスターのコピー:
“私は縦60センチ、横40センチのポスターです
しっかりとした紙に印刷され、重さは250gです。
ただ、私が他のポスターと唯一違う点は、私がHIV感染者だということ。
お読みの通り、私はウイルスと日々を過ごしています。
これを読んだ瞬間、あなたはおそらく、後ずさりしていることでしょう。
危ないかもしれない、と思って・・・。
アーサー博士(感染学者)「ポスターは完全に安全です。HIVウイルスは体の外では長く生きられないですから。そもそも、ポスターじゃ感染しませんよ。」
ニュースキャスター「差別防止のためのキャンペーンで、サンパウロ市街に複数のポスターが展開されています。」
シルビア(HIV感染者)「私がポスターのシルビアです」
取材者「なんでポスターの血にキスしたの?」
男性「知りもしないのに、この血を持つ人たちが愛おしく思えたんだ。」
取材者「せっかくなので、紹介していいかしら?」
「私はまるで、自分自身のことのように感じました。彼らや彼女たちを普通に、身近に感じることができたと思います。」
<5億1,900万のメディアインプレッション>
<“差別なき国家を目指す貴国を祝福したい”(国連)>
<GIV ライフサポートグループ 〜 AIDSと戦いつづけて四半世紀>
“偏見が病気であるなら、情報が薬となる。”
さて、いかがでしたでしょうか?ソーシャルキャンペーンは実行する側からすると、旗を掲げるだけで正義のように錯覚してしまい、自己満足に陥ってしまう怖さが常にあります。
ソーシャルキャンペーンの企画・実行に当たっては、それが効果的なものであるべきなのは勿論のこと、さらに自分がイシューの当事者だったらそれをどう思うのか、そして本当にそれは、彼・彼女たちのためになっているのかについて考え、悩み続ける姿勢が大切だなぁ、としみじみと感じさせてくれる事例でした。
それでは皆さま、今週もよき一週間を。