皆さんこんにちは。今回は、前回に引き続き東京汐留の電通本社ビル地下にある「東京アド・ミュージアム」で3月1日までに開かれている「D&AD賞2014」で展示されているすばらしいアイデアをご紹介します。
繰り返しになりますが「D&AD賞」とは、世界のクリエーティブ産業を支援しているイギリスの非営利団体「D&AD」による賞で、世界中のクリエイターの憧れとなっている賞です。
前回・次回と2回に分けて同賞のグランプリにあたる「ブラックペンシル」に輝いたソーシャル系のアイデアをお届けしている訳ですが、実は上記の写真も、その中のひとつ。
「体にハンディキャップを持つ人たちのカルガリー協会」という団体の年次報告書なのですが、なんとご覧の写真のように、報告書のど真ん中をホッチキスでとめてしまいました。その目的は「ハンディキャップを持たない人々に、ハンディキャップを持つ人の暮らしにくさを(年次報告書の読みにくさで)体感してもらう」ため。報告書を止めるホッチキスの位置を非常識な場所にするだけで、つまらないはずの年次報告書が、一気にすばらしい団体の意思表明書になりました。
この取り組みについて詳しくは以下、D&AD賞の説明リンクを貼っておきますのでご覧くださいませ。
CSPD 2012 Annual Report | D&AD
そしてこの特集の最後にご紹介するのが以下の取り組み。クラウドファンディング用のビデオなのか、出資を募る内容になっておりますが、まずはアイデアに集中してご覧ください。
<重力ライト〜10億人のための光>
GravityLight: lighting for a billion people - YouTube
<ビデオ概訳>
「重力ライト」
チャリティ団体ソーラーエイドが、アフリカのためのLEDライトを作れないかと持ちかけて来ました。
しかしそれは、重力ライトという革命的な電灯に帰結しました。
私はジム。そしてこれが重力ライト。私たちは、どこでも使えて、アフリカの奥地で幅広く使われている有害な灯油ランプの代わりになるものを創り出そうと考えていました。
バッテリー付きで、太陽光からチャージができるものを検討していましたが、プロジェクトが進むにつれて、我々はもっと新しく、より正しいアプローチができるのではと考えました。私たちは村の人々が10ドル以下で買えて、維持費がまったくかからないライトを生み出したのです。
これにより村々は灯油を仕入れるコストが減らせ、貯蓄に回すことができます。
我々の電源は、重力を利用して発電します。重りを持ち上げる数秒間で、0.5時間相当の明かりの電力を蓄えることができるのです。バッテリーを捨てたり、交換したり、捨てたりの手間は一切ありません。我々は重力電灯の電力が読書灯やラジオの電源、電池のリチャージ等、他にも転用できるように設計しました。光量は明るい作業灯から、30分以上持つ優しい光まで調整が可能。これは、引き上げたときに電力を起こすもととなる石や土、砂等の重りを入れる布の袋とセットになります。
私たちはこのアイデアを、もっと発展させていくことを求めています。研究開発に必要なファンドがあれば、発電効率が2倍で、より安く、環境に適した2号機を作ることができると考えています。
開発者A「この試みに賛同してくれればと思います。ここに至るまで様々なトライアルをして来ましたが、これからは実用化するための努力が必要です」
開発者B「ファンドで何千もの重力ライトを製造して途上国の村に送るつもりです。それにより彼らが日常どのように使うのか等、実用化における様々な発見をすることができるでしょう」
開発者A「それによってデザインも改善するでしょうし、大量生産により単価も効率的に下げることができます」
開発者B「おそらく将来、村の人々は重力ライトを5ドル以下で買うことができるようになるでしょう」
以上、いかがでしたでしょうか?ソーシャル系の作品以外にも、ホンダの「Sound of Honda」がブラックペンシルを受賞している等、D&AD賞では日本勢もがんばっていますので、皆様もしお時間があれば、ぜひ3月1日にまでに東京アド・ミュージアムに足をお運びくださいませ。
それではまた!