東西南北、ズルズルとキナ臭い世界ですが、今回は政府からの一方的なインターネットメディアへの言論統制に対し、見事なデモンストレーションでその危険性を国中に提示し、その企みを食い止めたトルコ発のソーシャルキャンペーンをご紹介します。「政府は4時間以内にネット上のニュースを司法判断なしに削除することができる」という、とってもこわーい法律の施行を食い止めるために、はたして現地のニュースメディアは何をしたのか。「それでは、ごらんくださいねぇ〜」(淀川長治風に)。
<消えていくニュース>
<ビデオ和訳>
ゲジ公園での反対運動に端を発し、トルコ政府の権威主義的ふるまいは、特にインターネットにおいてより支配的となった。彼らはオンライン上のいかなるニュースであっても、政府機関が4時間以内に、司法判断を待たずに削除できる法案をまさに成立させようとしていたのだ。
トルコのメジャーな新聞社のひとつ「ラディカル紙」は、この法に対する国民の危機感を高める必要を感じていた。しかし法案を食い止めるためには一刻も早く、国中に大きなインパクトを与えなければならなかった。そこで我々は、読者たちにネット上の検閲を疑似体験させることにしたのである。
「消えていくニュース」
2月18日。ラディカル紙のウェブサイトにアップされている記事が4時間のうちに文字通り消滅していった。そしてその後、消えたニュースの代わりにこのメッセージが浮かび上がったのである。「ここに記載されていたニュースは4時間で削除されました。」
読者たちはこの体験により、法案が通過したらインターネットがどのような状況になるのかを察知した。このキャンペーンを実施中、我々は何百ものニュースを削除することで、ラディカル紙のウェブサイトを、あたかも検閲されたコンテンツのように演出したのである。
この取り組みは1時間もたたないうちにツイッターのトレンドトピックとなった。その取り組みに共感した人々も自分自身のツイートやビデオ、記事をすすんで削除し、この「消えていくニュース」の取り組みは社会的ムーブメントとなっていったのである。
ジャーナリストやセレブ、政治家、ブロガーたちの支持もあり、この取り組みはメディアへの予算を一切割くことなしに3,200万人もの人々に到達。約1億400万のメディアインプレッション、100万ドルを超えるアーンドメディアにおける露出を達成した。
しかし本当の成果とは、政府が人々の声を受け入れ、法案を改訂したことである。今でも、司法の判断なしにネット上のコンテンツを政府が一方的に削除することは許されていない。
以上、いかがでしたでしょうか?言論の自由が世界中で様々な方向から、危機にさらされている今だからこそ、私たちもいろいろと考え、備え、アイデアで対峙しなければならないと考えさせられました。
それではまた来週。
サヨナラ、サヨナラ、サヨナラッ。