ひと昔前、「1秒の世界」という本が流行ったことをご記憶の方はいますでしょうか?1秒の間に、どれぐらいのものが消費され、どれぐらいのものが失われているかを分かりやすくまとめた本で、読んだ当時はもう3年も人類は持たない…と思ったものですが、今も私たちはなお、いろんなゴミを出しながら生きています。
今回は1秒の世界と同じく、「誰にでも分かりやすい尺度」を持ち出すことで森林破壊の凄まじさを国民に知らしめたブラジルのソーシャルキャンペーンをご紹介します。
これ、今ではすっかりおなじみとなった「スポーツ中継の画面の上にリアルタイムでCGを合成する」という技術が普及し始めた頃のキャンペーンなのですが、それぞれの時代の新技術にうまくアイデアを重ねた例としても、参考になります。
DEFORESTED FIELD WWF - YouTube
<ビデオ和訳>
ブラジルでは、4分間にサッカーフィールドと同じ面積の森林が失われている。
「ブラジルVSデンマーク 決勝戦」
試合の中継時、我々はその事実を文字通りに示した。
4分間の間に、フィールドは徐々にその色を変えていった。
そして最後、メッセージを表示したのだ。
“4分毎にサッカーフィールドの面積分、ブラジルの森林は失われている”
ウェブサイトで何ができるか、見てみよう”
“WWW.ORG.BR”
試合後、ウェブサイトへのトラフィックは73%増加した。
ブラジルで最も人気のあるスポーツの視聴者は、リアルタイムで惨状を体感したのである。
試合は、ブラジルが圧倒。
サッカーも、アピールも全面勝利。
ブラジルは私が大学生だった90年代から森林破壊が叫ばれてますが、未だにこのようなアピールが必要な状態です。私たちは、このままどこまで突き進むのでしょうか。
しかし事実をそのまま伝えても、人はなかなか動きません。この事例のように見たことのないトリックで驚かしたり、お話で暖めたり、映像で冷やしたり、共感させて笑わせたりといった「人の心を動かす」アイデアのチカラが、世界を良くするためにはやっぱり大切なんだな、と思いました。