世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたいすべての人のヒントになれば幸いです。

これは賢い!段ボールを使ったソーシャルキャンペーン ~ 東アジア編

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皆さま連休はいかがおすごしでしょうか。相次ぐ台風にうんざりした気持ちにもなりますが、今回は先月「途上国」篇をお伝えした、段ボールを使ったソーシャルキャンペーンの東アジア編をお届けします。身の回りにあり、しかも低コストで社会に貢献できる段ボール。比較的成熟した社会を持つ、東アジアの人々はどのように活用したのでしょうか?まずは香港の人々にドネーションを促した、このアイデアから。

1:<ギフト・ボックス> *リンク先から紹介ムービーをご覧いただけます

clios.com

<ビデオ和訳>

忙しい毎日の中、荷物を箱に入れて送るのは香港の人たちにとって面倒だった。それはリサイクル行動を阻害する要因となり、香港では毎日、平均で217トンのファブリックが廃棄されていた。これは服にすると100万着分に相当。救世軍(=世界に展開している、キリスト教系奉仕団体)はこれらをドネーションに回してもらえるような、もっと簡単で効果的な方法はないかと考えた。家賃の変動により最近、香港では引っ越しが増えていた事に目を付けた救世軍は、引っ越し会社のクラウンとコラボレーション。「ギフト・ボックス」を開発した。アイデアはとてもシンプル。段ボール箱の上ブタにそれぞれ「キープ」と「ギフト」の2つのデザインをプリントしたのだ。これらの箱はクラウンにより配布された。引っ越し先に送りたいものは「キープ」を上に、ドネーションしたいものは「ギフト」を上にしてフタをする。すると引っ越し会社は「キープ」の箱は新しい住所に、「ギフト」の箱は救世軍に送ってくれる。救世軍はpdfファイルを公開し、どの引っ越し会社でも自分たちの段ボールにプリントアウトした紙を貼りつけるだけで、この仕組みを使えるようにした。これが功を奏し、香港のリサイクル率は40%向上した。ドネーションを受け取る世帯は30 %も増加。ちょっとしたデザインの変化が、人々に大きな変化をもたらしたのだ。

 

一方こちらはこのブログで初登場の国、日本のアイデア東日本大震災発生を受けて、ペットの生活を守るために行われたキャンペーンです。

2:<リリーフ・ペット・ハウス>

www.youtube.com

<ビデオ要約>

2011年、東日本大震災の発生を受けて「どうぶつ救援本部」は、人命救助が第一におかれる環境下で活動していた。課題は「すむ場所を失った動物たちに、今すぐ安全な場所を確保する事」。震災直後、飼い主を失い、プライベートな場所を失った動物たちはストレスで傷ついていた。アイデア:救援物資を運ぶ段ボール箱を、一時的なペットハウスに変える。世界初のリリーフペットハウスだ。これはとてもシンプルに設計され、一見普通の段ボールと変わらない。段ボールとして救援物資が送れ、その後は一時的なペット小屋に変わるのだ。ダイレクトメールで送れるペットハウス。これは普通にあるものをスペシャルなものに変えたもので、救援物資が送れ、動物たちの住処になる。そして一切の環境負荷を加えない。結果、被災地にある72の動物シェルターでこれは活用され、20万3千頭の動物たちに幸せをもたらした。メディアでもホットな話題として取り上げられ、88の企業やNGOで採用された。人間からペットへのダイレクトメール。このペットハウスは、救援物資をおくり、ダンボールを再活用しただけでなく、ペットを愛する人々の気持を癒したのである。“福島の動物シェルターは現在は閉鎖され、全329頭は新しい飼い主を見つける事ができました。私たちのペットへの取り組みはまだまだ続きます。 動物救援本部”

以上、生活に近い分、工夫次第でさまざまな社会貢献ができる段ボールを使ったソーシャルキャンペーン2選でした。それでは皆さまも、Let's 段ボール!

(ちなみに「途上国編」は以下からご覧くださいませ。)

wsc.hatenablog.com