スポーツの秋。今回は、南米エクアドルのスタジアムにて行われたソーシャルキャンペーンをご紹介します。日本だと想像しにくいのですが、南米ではサッカー観戦中に起こる暴力的行為の犠牲になる方が多いそうで、その鎮静化に成功したアイデアです。せつなくも心の底から、再発を防ぎたいと思わせる力を持つキャンペーンです。。。
Cannes Lions 2014 Winner / Eternal Seat (Maruri ...
<ビデオ和訳>
「あれはダービーでした。どこからともなく突然、何かが当たったんです」
「数分後、彼は死んだと聞かされました」
「棺に入って弟が返ってくるなんて、お母さんにどう伝えればいいのか…本当につらかった…」
南米では650人以上もの命が失われるなど、サッカー観戦者の暴力的行為が問題となっている。
「ETERNAL SEAT(永遠の座席)」
このキャンペーンは、サッカーにとって、ファンを永遠に失うことの切実さを示すために企画された。
”国立サッカー協会安全委員会とクラブは、観客席のうち2つを座れないものにしました”
”この座席にはもう、他の誰かが座ることはないでしょう”
”この座席は失われた命への想いを静かに示しています”
”暴力反対への主張です”
“この試みは犠牲者への追悼だけでなく、観戦者たちへの強い戒めとなるものです”
”追悼の座席には犠牲者の名前と、暴力反対を訴える、署名サイトのURLが彫られています”
結果、12万をこえる人々が署名を行った。200万*(*通貨は不明)をこえるメディア露出を達成。
280のメディアに取り上げられた。
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この座席は、スタジアムの観客たちにも感銘を与えた。
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この座席の設置以来、暴力事件は起きていない。
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この座席を、最後の「永遠の座席」にしよう。
取り組み自体はスタジアム内のいくつかの座席を入れ替えた、というきわめて小さなものですが、逆のその小ささが、命の大切さを印象的に訴えます。
しかし楽しむためにあるスポーツ観戦で、命の危険にさらされる…というのは日本だとなかなか理解しにくいものです。当たり前のように秋空の下、安心してスポーツ観戦ができることのありがたさを感じさせてくれるソーシャルキャンペーンでした。