世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたいすべての人のヒントになれば幸いです。

お見事!心肺蘇生の基本を世界の常識にしたイギリスのキャンペーン

 

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 今回は実際にたくさんの人々の命を救うことになった、知る人ぞ知るソーシャルキャンペーンをご紹介します。マフィア映画風のウェブムービーで、悪役俳優ヴィニー・ジョーンズ氏がドスの聞いた声で教えるのは…なんと心臓マッサージの方法。

心臓マッサージの理想的なリズムがビージーズの名曲「ステイン・アライブ」と同じことに目を付けた英国心臓財団が、ユーモラスかつ、一度見たら忘れられない表現で心肺蘇生の方法を啓蒙することに成功したこの動画は世界中に拡散し、これまでにたくさんの人々の命を救ったそうです。

心肺蘇生というできればやりたくないものを「電話」「心臓を押す」「ステイン・アライブ」の3要素に単純化することで、ある意味「やってみたいもの」にすり替えたというのは圧巻。歌詞も「ステイン・アライブ(Staying Alive=生き続ける)」だったりして、なんとなく“蘇生”というテーマにあっていたりというところも素晴らしいです。

www.youtube.com

<ビデオ和訳>

ロゴマーク:英国心臓財団

“俺はヴィニー・ジョーンズ。お前たちに絶対忘れられないレッスンを授けてやるぜ。人生じゃ面倒なことがたまに起きるよな?まぁ、目の前でじいさんが倒れたとする。そしたらどうする?今回は特別に、息の根を止めたボランティアを用意したぜ。さっき始末したヤツだけどな。”

タイトル:ヴィニー・ジョーンズ主演 「強く&速く 〜意外と簡単・素手による心肺蘇生法〜」

“まず、倒れてる人を確認する。反応せず呼吸が止まっている場合か、こんな音が口元から聞こえる場合…。そいつの心臓は止まっている。いいか、最初は999番*(*日本だと119番に相当)に電話するんだ。そしたら心臓マッサージに取りかかる。人工呼吸は必要ない。口にチューするのは奥さんだけだ。いいか、手をこんな感じで組み合わせて、手のひらを心臓にあてて押し込むんだ。ちょうどアクセサリーの位置だな。…5〜6センチ押し込むんだ!インチでいうと2インチぐらいだ。2秒に1回、強く、速く押し込め。ステイン・アライブのリズムに合わせる感じだ。そいつを逆に傷つけちまわねえかって?せいぜい肋骨を折るぐらいだ。死んじまうよりマシだぜ。あとは救急車がつくまでこれを続けるんだ。忘れんなよ!容態確認・救急車を呼ぶ・心臓を強く&速く押す・リズムは「ステイン・アライブ」。これでオッケー。素手による心肺蘇生法。見た目ほどつらくないぜ。緊急時に備えたい奴は、財団の蘇生コースに申し込んでみな。“

 

おまけ:「レゴブロックを使ったパロディムービー」

 ちなみに数年前にアップされたこのムービーの人気はいまだに健在で、最近ではレゴブロックのコマどりによるかわいいバージョンも制作されています。

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みんなが知っている(楽曲などの)共通認識をうまく使い、これまでの常識に別の角度から光を当てて課題を解決するという、ソーシャルキャンペーンの理想型がここにあります。皆さまも街や職場、家庭で人が倒れていたらためらわずに「ステイン・アライブ」してくださいね。