世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたいすべての人のヒントになれば幸いです。

ありのままに生きる。企業とコラボしたLGBTキャンペーン

f:id:socialcamp:20140816023859j:plain

今回は面白い事例が揃ったので、LGBTレズビアン・ゲイ・バイ=セクシャル・トランスジェンダー)つまり、セクシャルマイノリティへの理解促進・権利拡大にまつわるソーシャルキャンペーンを3つ取り上げます。国によってはいまだ犯罪にさえなる同性愛。当事者でない限りその気持ちはなかなか想像しにくいものですが、近所で普通に暮らしているLGBTがもっと自然にすごせるように、日本でもこのような取り組みがもっと増えるといいな、と思いました。いずれも企業が中心となったキャンペーンですが、各企業の資産を効果的に活用した、素晴らしいコラボレーション事例です。

 

1:「誇りのワッパー(Proud Whopper)」

www.youtube.com

 

 毎年6月頃にサンフランシスコで開かれるLGBTのパレード「サンフランシスコ・プライド」にちなんで「ワッパー(Whopper)」というハンバーガーを主力商品に持つバーガーキングが、LGBTの象徴であるレインボーを包装紙にあしらった「誇りのワッパー(Proud Whopper)」というスペシャルメニューを出したキャンペーン。冒頭のインタビューや、店頭でオススメされた人たちの表情を見ても、いまだLGBTへの偏見は根強そうですが、この企画が素晴らしいのは、実は「誇りのワッパー」の中身が普通のワッパーと同じである、ということ。気づくと包装紙の裏側に「見た目がどうあれ、中身は同じ。」というオチのコピーがあり、それに気づいた人たちの感動の様子が描かれていきます。自分たちの性を肯定された、LGBTたちの笑顔が素敵です。

 

2:「同性婚(Same Sex Marriage)」


Google+ Hangouts - Same sex marriage - YouTube

続いてはグーグルがハングアウト(複数の人間がそれぞれを映像で映しながらチャットできるグーグルのサービス)を活用して行ったゲイたちの結婚式。当時、フランスでは法的に許されていなかった同性婚を、ハングアウトを使って合法であるベルギーの市長に行ってもらった、というものです。ちなみにフランスでも最近、大論争の末に同性婚は合法になったとのこと。こちらも当事者や、友人たちの笑顔や涙に感動です。

 

3:「GAYTM」


ANZ #GAYTM's 2014 wrap-up - YouTube

ラストを飾るのはオーストラリア・ニュージーランド銀行ANZ)によるキャンペーン。同行がサポートする「シドニー・ゲイ・アンド・レズビアンマルディグラ」というオーストラリアの大きなLGBTパレードにちなんで、会場周辺のATMをきらびやかな「ゲイTM」にした、という単純明快・実にアッパレなキャンペーンです。他のキャンペーンと比べるとややゲイのステレオタイプ的な部分をなぞっている気もしますが、とにかく楽しそうな当事者たちの様子に「まぁいいか、お祭りだし!」と思えるナイスな企画です。

 

私は異性婚者なのですが、今回の記事をまとめるうちに、改めてセクシャルマイノリティとして生きる人たちの大変さ・不便さに思いを馳せることができました。せっかくの人生。あらゆる人が、ありのままに生きることにもっと寛容な社会になるといいですね。