世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、時に和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたい人たちのヒントになれば幸いです。

投票率の低下を防いだ「独裁政権の記憶」

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緊迫した情勢が続く中近東ですが、今回はチュニジアで行われたソーシャルキャンペーンをご紹介。ジャスミン革命で独裁者のベン=アリー大統領を追放後、すっかり政治への関心を失ってしまった国民たちに、再び選挙に行ってもらうために実施されたショック療法的キャンペーンです。実施の規模は小さいですが、アイデアの素晴らしさで国内はもとより、世界中にそのメッセージを拡散させることに成功しました。予算がない時など、この「一発ネタを実施+YouTubeで拡散」のフレームは日本でも使えそうです。

 

The Return of Dictator Ben Ali - Case study - YouTube

 ビデオ和訳

<画面タイトル>「これが、我々が何百万もの人々を投票所へと向かわせた方法である。」

わずか数ヵ月間の間に、チュニジアは23年間にわたる独裁政権から、はじめての自由で公正な選挙が行われる国へと変貌した。しかし選挙で選ばれる候補者は1600人。彼らが広告などで発信した、数えきれないほどの政治的メッセージにさらされた人々は困惑し、完全に政治への興味を失ってしまった。見込まれた投票率は、良くて55%。このように無関心な人々をアクションへと促すためには、強烈かつ効果的な表現で政治への関心を再び目覚めさせる必要がある。そこで私たちは、現実的な脅威の危険性を提示することにしたのだ。将来起こりうる「独裁者の帰還」である。

 <画面タイトル>:独裁者ベン=アリーの帰還

私たちは挑発的かつ、視覚的に引きつけられる方法でこれを実行した。投票日の4日前、革命時に引き裂かれたものとまったく同じかつての独裁者、ベン=アリーの巨大なポスターを貼り戻したのだ。

 <現地の人のコメント>:「なんだ!?戻ってきたのか?」「あいつ、いつ戻ってきたんだ!?」「コソ泥、殺人者め!」「あの野郎、国全体を盗んだんだぜ!」

 ポスターは当然人々を刺激し、直接的行動に移らせた。彼らはポスターを引きはがすことにしたのだ。そして彼らはベン=アリーの巨大ポスターを引きはがすと、その下にこのように書いてある、もう一枚のポスターがあることを発見した。 「警告・独裁政権がまたやってくるかもしれません。10月23日は、投票に出かけましょう。」 この一連の模様は映像に納められ、オンラインにアップされた。

 その映像は即座に拡散し、何万もの行動を引き起こした。 この施策を実施した団体、ENGAGEMENT CITOYENのサイトは いつもより461%も多いアクセス数を記録した。

 この施策は実施当日の夜までに、あらゆるチュニジア・アラビア地域のTVニュースの話題となり、翌日は世界中へと拡散。何百万ものVIEW数やコメント、いいね!、 数えきれないほどのブログへのポストなど、ありとあらゆるエリアのフリーメディアを席巻した。

 しかし一番重要な事実は、実際の投票率が88%に跳ね上がったこと。これは予想されていた55%よりもはるかに高い数値である。 皮肉なことに独裁者の肖像が、新しい民主主義を育む支えとなったのだ。

 ASSOCIATION ENGAGEMENT CITOYEN

 

*参考までに、実施直後にオンラインにアップされたオリジナル映像をつけておきます。どこまで仕込まれたものかは分かりませんが、見た瞬間の憤怒や、ネタばらしの後の笑顔など、市民の表情が絶妙です。


The Return of Dictator Ben Ali (Original video) - YouTube