世界のソーシャルキャンペーン WORLD’S SOCIAL CAMPAIGN

このブログではこれまでの常識に「ひとつまみの非常識」を加えることで世界中で話題となったソーシャルキャンペーン事例を、和訳文付きでご紹介。NPOや起業家等、社会をよりよくしたいすべての人のヒントになれば幸いです。

586%の登録者数アップを記録!アメリカ発の臓器ドナー登録促進キャンペーン – The world’s biggest asshole

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臓器ドナーの登録は、自分の死後のこと、ましてや死後に自分の体が切り取られる…などと考えたくない人々にとってハードルが高いもの。

しかしそのハードルを軽々と飛び越え、3分弱のオンラインムービーたった1本でドナー登録者数の586%アップを実現してしまった、素晴らしいアメリカ発のキャンペーンを今回はご紹介します。

イデアの目の付け所が素晴らしいのは言うに及ばず、ストーリーテリングの巧みさは同業者としても脱帽するばかり。

全訳もしておりますので、ぜひビデオを楽しみつつ、和訳と照らし合わせながらその技をご堪能ください。

This is a campaign from the USA, which raised the number of organ donor by 586% with just a 3-minute long online movie. The insight is just brilliant and amazing. Please enjoy.

 

<The World’s biggest Asshole / 世界最悪のクソ野郎> 

www.youtube.com

<ビデオ和訳>

これは、コールマン・スウィーニーの物語である。

コールマンは、一言でいうとクソ野郎だ。

 

それは彼の住む、小さな町の人々の共通認識だった。

 

何も悪ぶっているわけじゃない。

根っこから腐っていたようだった。

 

コールマンは、世界中が彼に貸しがあるかのように振る舞った。

なので、しかるべき公共のルールにも背き続けた。

 

トイレの順番待ちの女性「本気かよ!?」

 

そして、彼の行く手を邪魔する全てのものに腹を立てた。

 

コールマン「(道路を渡る老女に向かって)早く行けよ。行けるだろ、早く行けって!」

 

…小さな動物でさえも。

 

(フンをする隣の犬を威嚇射撃するコールマン)

 

そして、子供たちに対してもクソ野郎であり続けた。

 

子供たち「トリック・オア・トリート!」

コールマン「…」

 

それはまさに、筋金入りのものだった。

しかしある日、奇妙なことが起きた。

 

全くの予想外のことに、コールマン・スウィーニーは、死んだ。

頭の動脈瘤、いや、より正確にはくも膜下出血で。

 

それは、彼がいつものように

追加のフライが1ドル99セントのとびきり朝食セットに

含まれるかどうかについて、クレームをつけている時に起こった。

 

そしてその時だった。サラが全く予想外のことに気づいたのは。

 

コールマン・スウィーニーは、臓器移植のドナー登録をしていたのだ。

 

なぜ彼が登録をしていたのかはわからない。しかしそれは寛大で、荘厳な行いだった。

 

そしてその日から、コールマンはクソ野郎からヒーローに変わったのだ。

 

彼の肝臓は、2人の子を持つ父親、スタンのもとに行った。

心臓は、25年以上も教師を続けてきたミランダ・モーガンに。

そして彼の腱により、ドナヒュー二等軍曹は再び歩けるようになった。

彼はもう、理学療法士に促されながら道路を渡る必要はないだろう。

 

そして小さな世界の皮肉とでも言おうか。彼の角膜は、彼の家の隣に住む

82歳の老女に移植され、目が見えるようになった彼女は再び、

愛犬のフンを始末できるようになったのだ。

 

そう、生きている間の24時間365日、彼は正真正銘のクソ野郎だった。

しかしその死については、中指をおっ立ててこう叫んでやろうではないか。

「ムカつくぜ、コールマン・スウィーニー。お前はもう、クソ野郎じゃない。」

 

“クソ野郎でも命は救える”

 

<ドネート・ライフ Registerme.org  #命は救える>

驚愕。ペルーの人気ミュージシャンが行なった女性への虐待防止キャンペーン - A LOVE SONG WRITTEN BY A MURDERER

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 日本でも毎週のようにニュースで報じられる家庭での虐待事件。ここまで深刻になる前にどうして止められなかったのか…と毎回暗い気持ちになりますが、今回は悲劇の芽を事前に摘み取るべく、立ち上がったペルーの女性保護団体「ヴィダ・ムジュー(Vida Mujer / 人生の女性)」が行なった衝撃のキャンペーンをお伝えします。人気歌手のヒット曲に隠された秘密とは…。

そのカラクリの巧みさはもちろんですが、キャンペーンのメッセージが単純に「虐待をやめましょう」というだけでなく、当事者たちにとってより具体的な提言になっている点も素晴らしいと思います。

それでは説明ビデオをご覧ください。

This is a social campaign held by Peru’s women organization to prevent domestic violence using lyrics of a popular romantic songwriter.

 

<A LOVE SONG WRITTEN BY A MURDERER >

vimeo.com

<ビデオ和訳>

ディエゴ・ディボス。

彼はペルーで最も影響力があるラブソングの作曲家。

その美しい歌詞は、この国のポップカルチャーを代表するものだ。

 

数週間前、新しいシングルをリリース。

 

♪何を書いたら良いのか どう切り出せば良いのか

全ての真実を君に伝えるには 

♪どう消し去れば良いのか どう説明すれば良いのか

君に与えてしまったこの苦しみを

 

この曲は1週間のうちに、ラジオや全国ツアーを通じてヒットに。

この曲は有名になった。

 

そこでディエゴはこの曲の“とんでもない秘密”を明らかにした。

 

このラブソングの歌詞は彼が書いたものではなく

「殺人者によって書かれたラブソング」だったのだ。

 

歌詞に使われた言葉は、妻にひどい虐待を加えた男が妻に書いた手紙を転写したもの。

 

-許してくれ

-もう二度と傷つけない

 

この手紙を受け取り、男を許した6日後に、

彼女は残虐な方法で殺害された。

 

美しい言葉に隠された「とんでもない事実」は、ペルーでは毎日のように起きている。

 

虐待を加える男性を許すことで、毎年何百人もの女性が命を落としているのだ。

 

最後に、ディエゴは彼女たちにメッセージを残した。

 

ディエゴ「もし男性があなたを叩いたり、暴力を振るったら、許さないでください。2回目のチャンスを与えてはダメです。あなたの命は何よりも一番大事なものなのですから。愛しています。」

 

12万5千人以上の人々がこの曲を拡散。

ニュースはひと月のうちに820万人に届いた。

 

ひと月もしないうちに、ヴィダ・ムジューは3000人以上の女性を保護。

 

「虐待者に、2回目のチャンスを与えるな」

 

<ヴィダ・ムジュー オーガニゼーション>

論より実行。街の死角を見事に“再開発”したタイ発のキャンペーン –The Unusual Football Field

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環境の変化もありしばらくブログの更新も滞りがちだったのですが、読者の方からご声援をいただき、やる気がまた出てきました。読んでる人はどんどん声をかけてくださいね。調子に乗せていただければ、更新頻度もまた上がるかもしれません(笑)。

今回は今年、各地の広告賞で高い評価を得たタイ発のソーシャルアイデアをご紹介します。もちろん素晴らしいソリューションなのですが、このアイデアのミソは主催者がNPOではなく、民間の不動産デベロッパーである点。

有名人を起用して「あなたのための街づくりを考えています」といった美辞麗句を並べたTVCMを流すのもイメージアップに有効だとは思いますが、こういう実際の活動を通じた街の人々との交流はより深く、住民たちの心に届くのではないかな、と感心させられてしまいました。フィールドのデザインもいい感じです。

This is a brilliant and award-winning campaign from Thailand, beautifully executed by a property developer.

 

<普通じゃないサッカー場:The unusual football field>

www.youtube.com

<ビデオ和訳>

バンコクのヘンテコなサッカー場 – ミラー紙”

“異常な空間が、崇高な志を実現 – ハイプビースト”

“今週のベスト広告(=アド)キャンペーン – ベストアド”

 

キャスター1:「普通じゃないサッカー場です」

キャスター2:「クロントイ地域にできたこのサッカー場は…」

健康省補佐官「他人と自由に触れ合う空間がないと、人々は思いやりの気持ちを失い、自分勝手な行為に走りがちになります」

AP不動産開発 副社長「狭い場所に住んでいる人々にも、自分の能力を発揮したいという思いがあります。我々は彼らにも十分な空間を与えたいと考えました。」

スーパー:AP不動産開発プレゼンツ「普通じゃないサッカー場

男性「(街の)使われていない空間に我々の想像力を活用することができたら、すべての人にプラスになることができるのではないか、と考えました。」

スーパー:このアイデアは、住民たちに温かく受け入れられた。

スーパー:このニュースは、132カ国に拡散。ついには…

“2016年の、25大イノベーションの一つ – タイム紙”

<AP不動産開発>

 

ティンダーは地球を救う!?アフリカで行われた奇想天外の動物愛護キャンペーン/ The World's Most Eligible Bachelor

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FacebookからTwitterInstagramSNSはいろいろありますが、今回は出会い系アプリとして数年前から世界中で普及しているTinderを使ったユニークな動物愛護キャンペーンをご紹介します。Tinder とはスマホに映し出される好みの性別の顔を見て、興味のある・なしを右左に次々とスワイプさせながらマッチングさせてゆく露骨なアプリでして、他のSNSとは一線を画す存在なのですが、それを逆手にとって課題の解決に結びつけた見事なアイデアです。それでは説明ビデオをご覧ください。

This is the impressive idea matching Tinder with animal protection.

 

<世界で最も目が離せない独身男性/The World's Most Eligible Bachelor>


Ol Pejeta Conservancy | The World's Most Eligible Bachelor

<和訳文>

“野生動物保護の専門家が、種の保持のために放った最後の手段。-タイム誌”

ケニア/オル・ペジャタ保護区

スーダンに会おう。

−彼は43歳。

−家の敷地は9万エーカー。

−軍仕込みのセキュリティガードを所有している。

−彼は地球で最後のキタシロサイだ。

−文字通りのワン・アンド・オンリー。

−これらが示す通り、彼は世界で最も目が離せない独身男性だ。

−でも悲しいことに、彼女はいない。

−彼が愛を見つけるために、ふさわしい場所はどこだろう?

−「ティンダー」

−“世界で最も目が離せない独身男性”として、彼のプロフィールがティンダーに掲載された。

−ユーザーはただ、右にスワイプする(訳注:つまり、興味のある交際相手候補としてキープする)だけ。

−すると、オル・ペジャタ保護区の繁殖プログラムに募金ができるのだ。

−愛が、世界から集まった!

−「素敵な独身を見つけちゃった!(団体のサイトに)アクセスしてみて! byルピタ・ニョンゴ 」

−「寂しくてムラムラしてる?だったら交際相手を探しているキタシロサイに手を差し伸べよう。 Byリチャード・ブランソン」

(その他アーロン・ラムゼイやジミー・ファロンのツイートなど)

−わずか48時間で、彼は人気者になった。

キャスターA:彼は43歳で身長2メートル、体重は2トンを超えます。

キャスターB:そうです。すぐに愛が見つからなくても、彼のことを気に入ってくれる人がどこかにはいるはずです。

キャスターC:スーダンの様子はどう?

キャスターD:スーダンというサイが、ティンダーでまさに恋人を探しています。

ジミー・ファロン:ケニアの保護区の皆さん、絶滅寸前のサイのためにティンダーのアカウントを作ってくれてありがとう。彼もさぞかし「イキリ立ってる」だろうね。(笑い)

−190カ国、40言語でニュースに。

−1週間で、21億のメディア・インプレッションを稼いだ。

−PRバリューは1億6千6百万USドル。

−そして募金額は、320%上昇した。

−望みはある。

<オル・ペジャタ保護区>

 

あの死から23年。アイルトンセナ財団が見せる、アスリートによるソーシャルグッドの可能性:Ayrton Senna Foundation - New Way of Social Good by a Legendary Athlete

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1994年5月1日。イモラのタンブレロコーナーで34歳の人生を終えたアイルトン・セナ。年代的にも自分の生き方に大きな影響を与えてくれた人物ですが、死後23年を経て、彼のブランドやレガシーは遺族によるNGO団体、アイルトンセナ財団によって今もブラジルの子供たちの教育に大いに役立てられているそうです。最近の著名アスリートたちが企業との関係性などで自己ブランドの維持に苦労する中、ソーシャルグッドと結びつけたこのような座組みのアイデアは案外とこれからの参考になるかもしれないと思いましたので、以下にイギリスBBCによる記事の概要を翻訳してご紹介いたします。

Here is a link to BBC's article about Ayrton Sena Foundation, which is supporting chilren's education in Brazil even today.  

www.bbc.com

<記事概訳>

アイルトン・セナ : そのブランドとレガシーは生き続ける”

その死から23年を経てなお、かつてのF1世界王者アイルトン・セナの名は生きている時と同様の価値を保っている。彼の故郷、ブラジルに変化をもたらしながら。

 

金曜の午後、サンパウロから1時間ほど離れた郊外の小さな町イタチバの学校では、12歳ぐらいの子供たちがコンピューターラボに集まっていた。

授業時間を超え、課外活動として自発的に参加している子供たち。彼らはMITのエキスパートが子供にコーディングを教えるために開発した「スクラッチ」というソフトウェアを学んでいる。

ブラジルの学校でこのようなカリキュラムを持つところはほとんどない。世界での学力ランキングでも最下層に沈むこの国では、算数やポルトガル語など、基本的なことを教えるのにすら苦労しているのが実情だ。

イタチバではF1に興味を持つ生徒や教師はほとんどいない。ただ、ここで起きていることは1994年5月1日、サンマリノGPで命を落としたアイルトン・セナのレガシーの一部だ。

“セナとその一族”

コーディングの授業は、セナの姉ヴィヴィアーノが彼の死から数カ月後に立ち上げたNGO団体、アイルトンセナ財団により運営されているプロジェクトだ。

この財団の主な資金源は、セナのブランドやレガシーのマネジメントによりもたらされている。

彼は今もなお、世界でもっとも価値のあるスポーツブランドの一つだ。過去5年間で、この財団には10億レアル(およそ350億円)もの資金が集まった。

そしてこれは、セナ家のビジネスでもある。財団の理事はヴィヴィアーニで、彼女の娘、ビアンカブランディングを担当している。

その資金の多くは野心的な教育プロジェクトの推進に使われ、それが財団の主なビジネスになっている。

ビアンカは言う。「普通の企業の場合、その中の一部に社会貢献活動のための部門がありますが、私たちはある意味、その逆だと言えます。私たちは、スポーツブランド会社をその中の一部に入れ込んだ、唯一のNGO団体なのです」

<衰えぬ人気>

セナは、マーケティングの点でまだかなりの価値がある存在だ。

セナ関連の商品が強い市場はブラジルと英国、イタリア。

ボストン・コンサルティンググループが行なった2015年の調査によると、セナブランドが商品に与える影響力はロジャー・フェデラーマイケル・ジョーダンと同じクラスに属する。

また他の調査によると、リオ五輪に参加したブラジル代表選手(多くは若すぎて、彼の存命中の姿を知らないはずだ)の中で、彼はネイマールやペレを上回り、彼らにもっともインスピレーションを与えた存在として位置付けられた。

セナ財団はこのマーケティングの価値を最大限に生かすべく、関連書籍やDVD、ヘルメットやコレクターズアイテムを購入してくれるF1ファン層と、レースには興味がないが、彼のカリスマや価値に良い印象を持つ一般層の2つのターゲットに向けて、何百という商品にセナの顔と名前の使用を許可している。

一般層に向けての商品としては、おもちゃや子供向けのコミック、ケチャップやマスタード、マヨネーズなどの調味料が販売されている。

<比類なきブランド>

トップブランドコンサルタント社のマーケティングスペシャリスト、マルコス・マチャド氏によると、キャリア全盛期における悲劇的な死によって、セナは勝利者としてのイメージを失わず、大衆の心に訴えかけることができたと言う。

ほとんどのスターアスリートは衰え、引退することによりその魅力を失うことになる。時にはタイガー・ウッズライアン・ロクテのように、スキャンダルで自らのブランドを傷つけてしまうこともある。

<セナのF1キャリア>

・世界王者:1988,1990,1991

・161レースに出場

・通算41勝

・ポール・ポジション獲得数65

・初レース 1984 ブラジルGP

・初優勝 1985 ポルトガルGP

・最後の勝利 1993 オーストラリアGP

・ラストレース 1994サン・マリノGP

・F1史上最高のドライバーに選出

セナブランドの強みは実質上、ライセンス契約による収入のほぼ全てが、利益ではなくチャリティに生かされるところである。

教育は財団の中核事業であり、過去20年で、この財団は年間1900万人の子供たちをサポートし、6万人の教師を訓練するブラジル最大のNGO団体の一つとなった。

そして今、財団は多くの学校に安価で導入することができるスマートな教育推進策 ー ヴィヴィアンが言うところの「ワクチン」の開発と研究に投資を集中させている。

<社会的かつ、情緒的スキル>

昨年この取り組みは、リオデジャネイロ低所得者たちが集まる公立学校、コレジオ・チコ・アニシオで大きな成果を上げた。

カリキュラムを見直し、算数や言語といった従来の科目のみでなく、忍耐や規律、決断力といった社会的、情緒的スキルの教育も評価マトリクスとセットで組み入れたところ、全国規模の学力テストにより低所得者層の中では5番目に優秀な学校としてランクインしたのだ。

今年、財団はこの「ワクチン」プログラムをブラジル南部の20校に展開している。

「このような社会的、情緒的スキルは個人的な特性に基づくものであり、計測できるものではない」、「この財団は学校や教師を一般のビジネスと同じように扱いすぎなのでは」など、財団の活動に批判がないわけではない。

 しかしヴィヴィアーニはこう否定する。

 「もし19世紀の人が今の教室を見たとしても、何も違いを感じないでしょう。でも世界の他の部分では技術や科学の革命が起きているのです」「何もそれは、スマホタブレットを子供に持たせるだけのことではありません。私たちは、そのような世界と相対するための社会的、情緒的スキルを育もうとしているのです」

<これからの課題>

いくつかの成功にもかかわらず近年、ブラジルの教育水準はPisaによる世界ランキングでも低下傾向から抜け出せていない。

ブラジルでは6歳から16歳までの子供、合わせて5000万人が教育を受けるものの、高校を卒業するのは5人のうちたった1人で、あとの子供たちはその間に教育過程から身を引いてしまう。

財団も前途が洋々というわけではない。学校との全ての取り組みは州や市当局の認可が必要なものの、公共の財政は不況により破綻している。

ブランドの点から言っても、一般大衆のセナへの興味・関心を保ち続けることは、時の経過とともに難しくなっていくことだろう。

マチャド氏は言う。「この財団は素晴らしい仕事をしてきた。大衆のセナへの興味関心も保ち続けることができるだろう。ただ、それは永遠というわけではない」「私たちは現実的にならないといけない。いつか、若い世代にとってセナは現実のアイドルというよりかは、遠い過去の人物のように感じることになるだろう」

サーキットでは、不可能なことを可能にすることでその伝説を作り上げたアイルトン・セナ。その名を冠する財団は今、彼のスピリットを胸に新たな不可能に挑戦しようとしている。

悲しい誤解を解くために。セサミストリートのキャラクターに自閉症の女の子が登場!〜A new friend with autism comes to Sesame Street!

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先日、セサミストリートの新キャラクターに自閉症の女の子が登場したというニュースがBBCのウェブサイトに掲載されていました。この子とセサミストリートの仲間たちとの交流を通じて、自閉症の子供たちについての誤解を解いていこうというアイデアです。

バードが、普通の子と反応が違う女の子に悩んだり、おじさんがその悩みを解決してあげたりする感じが、とても愛おしかったので以下リンク先のムービーでご覧ください(和訳もリンク下につけておきます)。きちんと専門家をつけているのでしょう、症状に個人差があるところまできちんと触れているところも啓蒙としては練れていて、誠実だな、と思いました。

Hi Bird, could you tell me how to get to Sesami Street? I need to learn from Julia a lot!

www.bbc.com

<ムービー和訳>

エルモ「この子がお友達のジュリアだよ!」

バード「ジュリアちゃん今日は。僕はバードだよ。よろしくね!・・(無反応にあせって)あれ、ジュリア?」

おじさん「ジュリアは今、お絵かきに夢中なんだ。みんな今日は、頑張ったね!」

文字:セサミストリートの新しいキャラクター、自閉症のジュリア。彼女はその存在を通じて、子供たちがその症状や、暮らしの中で誤解が起きやすいシチュエーションを理解する手助けをしてくれる。

おじさん「ジュリアは自閉症なんだ。理解してあげるとジュリアも喜ぶよ。」

バード「自閉症?それってなあに?」

おじさん「ジュリアの場合はね、話しかけてもすぐに答えてくれないかもしれない。」

エルモ「そう、ジュリアはあまり喋らないんだ。」

おじさん「その通り。そして、彼女は君がハイファイブしようと思っても乗ってこなかったりするよ。」

アビー「そう、ジュリアは他の子たちとは、ちょっぴり違ったことをするんだ。“ジュリア流”のね。」

バード「ヘぇー。」

文字:これについて、自閉症関連のコミュニティからは、好意的な反響が多く寄せられている。

ジェームズ:自閉症の一人一人は、勇敢に素晴らしく、驚くべき毎日を全力で送っている。私の息子もそうだ。セサミストリートのジュリア、ありがとう!

MrsC:ジュリアに感謝!あなたは自閉症を身近なものに変えてくれたわ。あなたは子供たちだけじゃなくて、大人たちにまで必要なことを教育してくれているわ。

マリ:セサミストリートにジュリア登場。自閉症の女の子がキャスト入り!

 

ちなみに上記映像の本編や、自閉症についての情報がたくさん盛りこまれたセサミストリートの公式サイトには以下からアクセスいただけます。

autism.sesamestreet.org

 

自分や、その他大勢とは違う存在や考え方を受け入れることを、こんな感じで前向きに、明るく楽しく教えたり、教わる機会がもっと増えるといいんだろうな、増やさなきゃいけないな、と強く思いました。

 

SNSの動画フォーマットを活用して「見えない貧困」を可視化したカナダ発のキャンペーン:Salvation Army - Facebook 360 Photo

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今回は、ブログをお休みしていた昨年末に見つけて紹介したいなぁ、と思っていたアイデアをご案内いたします。日本でいう救世軍、サルベーションアーミーのカナダ支部が行なった、Facebookの360度パノラマ画像機能を活用したキャンペーンです。

2年前に映画「スターウォーズ フォースの覚醒」のプロモーションコンテンツとしてこの機能(動画と静止画の違いはありますが)を体験して以来、それをうまく使ったキャンペーンが意外と少ない気がしたのですが、これは救世軍が伝えたいメッセージと機能がきれいにつながっていて、素敵だなと思いました。

This is an idea which was executed during the holiday season last year, by the Salvation Army Canada. It adroitly connects the unique visual format of Facebook – 360 photo, with the message they want to appeal especially in the holiday season. Though it might be a bit modest, I like this idea since there have been not so many good works using this visual format effectively except for the promotional content for Star Wars VII, which was launched 2 years ago - “A long time ago”, seriously.

 

救世軍:Salvation Army - Facebook 360 Video>

vimeo.com

<ビデオ英訳>

「このホリデーシーズン、救世軍は人々に、貧困は必ずしも目に見える形では現れないことを知らせたいと考えていた」

「そこで我々は、ホリデーシーズンの隠された一面を、Facebookの360度パノラマ映像機能を使って明らかにすることにした」

「私たちの投稿は一見、単なるホリデーを祝う家族の挨拶画像に見える」

「しかしユーザーがこの画像に触れると、全く違う側面が見えてくるのだ」

(ユーザーが360度の画像を見回して、挨拶画像を取り囲む家族の生活環境が、決して恵まれていないことが分かった後「貧困は目に見えにくい。特にホリデーシーズンは。」というキャッチコピーと救世軍のロゴが表示される。これがバージョン違いで何度か繰り返される。)

「貧困は目に見えにくい。特にホリデーシーズンは」                                 

「このシーズン、救世軍カナダのウェブサイトで募金にご協力ください」

タイトル:今日に希望を – 救世軍

 

ちなみに、このアイデアを基づいたテレビや、ポスターも制作されているようです。以下にリンクを貼っておきますが、強いアイデアはフォーマットに関わりなく、様々なメディアに転用しやすいものなのかもしれませんね。

You can also check the TV commercial and some poster visuals for this campaign from this Adweek article.

<出典元:The Salvation Army’s Clever Facebook 360 Photos Show Poverty Lurking Just Out of View>

http://www.adweek.com/creativity/salvation-armys-clever-facebook-360-photos-show-poverty-lurking-just-out-view-174789/

 

また、冒頭に触れたスターウォーズの記事もつけておきます。

<参考資料「スターウォーズ フォースの覚醒プロモーション用360度パノラマ動画>

www.facebook.com